補助金終了で工場・倉庫の電気料金値上げは必至?今知りたい電気代の削減方法
この記事のリンクをコピーしました。
電気代の補助金制度が終了するなど、2024年5~7月以降は、電気料金に大きな変化が訪れると予想されています。この動きを受けて、制度終了後の電気料金について見直しを検討する工場・倉庫の管理者も多いのではないでしょうか。
補助金制度が終了すると共に電気代の負担額は大きくなりますが、電気代の値上げに影響を与える要因は他にもあります。
そこで本記事では、電気代金補助金等の政策の変化や今後の電気料金の動向について解説するとともに、値上げ対策のために今知っておきたい電気代の削減方法や、またその中でも節電に効果的である空調コストの削減方法をご紹介します。
補助金終了で、電気代値上がりに懸念
再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ(2024年5月)
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーを電力会社が買い取る際に発生する費用を、利用者が負担する制度のことです。再生可能エネルギー発電促進賦課金の金額は、電力の原材料費や発電量、需要と供給などによって変動します。
経済産業省は2024年3月に、同年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金を1kWhあたり1.4円から3.49円に値上げすると発表しました。これを受けて大手電力10社も相次いで値上げを表明。5月請求分の電気代(4月使用分)は、前月比約500円前後高くなるということです。
激変緩和措置(電気・ガス価格激変緩和対策)の終了(2024年6月)
激変緩和措置とは、政府が一般家庭や企業の電気代を軽減するために実施している政策の一つです。電気とガス料金に対して一定の値引きをする激変緩和措置は、2024年の5月から6月にかけて段階的に終了します。
2024年5月(4月使用分)の高圧契約の値引き価格は、1kWhあたり1.8円。2024年6月(5月使用分)は、1kWhあたり0.9円です。それ以降の値引きはありません。
電気代・ガス代の値上げ(2024年7月)
2024年5月、大手電力会社10社は電気・ガス料金の値上げを発表しました。これは、電気・ガス価格激変緩和対策の終了に伴うものと考えられています。電気料金の値上がり幅は、346~616円です。
工場や倉庫の電気代は今後どうなる?
政府は、終了した電気とガス代の補助金制度を、8月から3か月間制度を再開すると、複数のメディアが報じました。この政策の背景には、円安の進行による公共料金の上昇などがあると考えられています。
仮に制度が再開したとしても、期間が限定的であるうえ、大手電力会社からは値上げを撤回する目立った動きは確認されていません。今回の補助金制度の再開は猛暑による電気量の増加に対する補助であり、根本的な電気料金の引き下げを目指す政策ではないと思われます。
電気料金について考える時は、「電気の価格は複数の要因によって左右される」という点を忘れないようにしましょう。
例えば、制度終了後は毎月500円上がると予想されていても、電気の価格が値上がった場合は、500円以上の負担額になる可能性があるということです。
補助金制度による値引きが終わることによって、電気料金は現在よりも高くなると考えられています。ただし、電気代の価格は複数の要因によって左右されるため、予想よりも高くなる/安くなる可能性もあります。
日本は自国でエネルギー供給を賄えないため、不足分は海外からの輸出に頼っているのが現状です。需要と供給のバランスが保たれているうちは価格の変動もそれほど大きくはありませんが、需要が伸びて供給量がひっ迫すると、価格が上昇します。
政策や資源価格の他にも、AI(人工知能)の普及などによって電力需要はますます高まるでしょう。そうすると、需要と供給のバランスが崩れて電気料金は値上がると指摘されています。
電気代削減のための対策が必要です
工場や倉庫のような大型施設では、まとまった電力を必要とするため電気料金の値上げは、経費に大きく影響します。この機会に、電気の利用を見直しましょう。
効果的といわれている電気代削減方法を3つご紹介します。
節電に取り組む
工場内の電気の使い方を見直しましょう。
簡単にできる方法は以下のとおりです。
・従業員に節電を徹底させる
・全ての電球をLEDライトに変更する
・電気を使用する時間帯を決める
・消灯したかどうかを必ず確認する
これらの節電方法の効果は微々たるものかもしれません。けれども、積み重ねることによって電気の無駄遣いが減り、節電効果を実感できるでしょう。
省エネ性能が優れている設備に変える
交換が必要な設備がある場合は、省エネ性能に優れたものに変更することで、電気代を節約することが期待できます。最新の設備は、省エネを考慮して節電効果の高いものが多く、長い目で見るとコストダウンにつながると考えられます。
ただし、新たな設備を導入する場合は初期費用がかかるため、導入については慎重に検討する必要があるでしょう。
太陽光発電設備の設置
工場や倉庫の屋根に太陽光パネルを設置して、そこから電気を作り出す方法です。自家発電することによって電力会社から購入する量を減らし、電気代の節約につなげます。自家発電は電気市場の影響を受けにくく、自家発電量が増えれば増えるほど電気料金を抑えられます。
太陽光パネルのみを設置した場合、電気を利用できるのは日照時間内と限られてしまうため、蓄電池を用いることによって電気をためて日没後も使えるようにするとよいでしょう。
空調コストを抑えることが、電気代削減のための近道
工場・倉庫の電気代のうち空調コストが占める割合
資源エネルギー庁によりますと、工場で消費されている電力のうち空調が占めている割合は11%ということです。これは生産設備の81%に次いで高い数字です。
生産設備の省エネも大切ですが、新しいものに変更しようとすると稼働を中止するなど大掛かりになり、難易度が高くなります。その点空調設備であれば、機械の掃除をしたり、設定温度を見直したりするだけで節電効果が期待できます。
覚えておきたい6つの空調コスト削減方法
空調コストを削減するには、以下の方法が考えられます。
①空調設備のフィルターを定期的に掃除する
ホコリがたまると冷房や暖房が効きにくくなり、その分電気量を必要とします。フィルターをきれいに保つことで、4~6%の電力削減につながります。
②温度を1℃上げる
室内の温度設定を1℃上げるだけで、消費電力を抑えられます。削減の程度は約10%です。
③室外機の周りは何も置かない
室外機の周りに障害物を置くと、風通しが悪くなり冷暖房の効率が落ちます。効率が落ちると、電気消費量が増えます。室外機にカバーをかけることも同じです。
④空調制御システムを導入する
空調制御システムは、建物内の空調を自動的に制御する設備のことです。データを分析して快適な環境を保ちつつ省エネも実現できる数値を割り出し、その結果をベースに空調をコントロールします。人の手で空調を調節する手間が省けるだけでなく、省エネに根ざした空調管理を継続しやすくなるでしょう。
⑤断熱材や遮熱塗料を用いて空調効果を高める
工場や倉庫などの建物は、隙間や使用している建材によって外気熱が入りやすく空気が逃げやすい傾向にあります。断熱材を使って建物自体の断熱力を強化したり、遮熱塗料を使って建物内の温度上昇を防ぐことによって、空調効果を高めることができます。この方法は、設備を変えることなく電気料金を減らせるという点においてメリットと言えるでしょう。
⑥空気熱の空調設備から地中熱の空調設備に変更する
多くの空調設備は空気を循環させて温度調節をしますが、最近では地中熱ヒートポンプシステムなど地中熱を利用した空調設備も登場しています。地中熱を利用した空調設備は、熱交換を地中で行うため空気の温度が変動しにくく、その分コストを抑えられます。
空調コストを抑えるのにおすすめの商材
<遮熱塗料ミラクール>
ミラクールは、屋根用の遮熱塗料です。屋根に塗布することによって屋根から侵入する太陽熱をカット。建物内の温度上昇を抑えます。ミラクールの遮熱効果は、独自の実験で実証されています。
まとめ
電気代補助金制度終了後の電気料金の変化から、電気代削減方法までご紹介しました。
補助金制度が終了し、電力会社が値上げを発表したこと、さらに今後の電気需要の高まりなどをふまえると、電気代は今後経費に重くのしかかってくることが予想されます。
仮にコスト面で変化がなかったとしても、電気の使い方を見直すことで節電に成功し、コスト削減につながるでしょう。特に空調設備における電気の見直しは、効果的です。
この記事をシェアする
この記事のリンクをコピーしました。
あなたにおすすめの記事