空調服があっても熱中症になる?|工場・倉庫の現場で見落とされがちな“空間”の暑さ対策とは
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<この記事の要点>
・空調服を着ていても作業現場で熱中症になる理由
・見落とされがちな工場・倉庫などの“空間全体”の暑さ対策
・換気・冷房・遮熱塗料など多角的なアプローチで熱中症リスク軽減
・空調服×遮熱塗料の相乗効果による作業環境の快適化
この夏は40℃近い厳しい暑さの日も多く見られます。
暑さ対策として保冷ベストやネッククーラーなどを使用する人も増え、夏の必需品となっています。
その中でも近年特に注目されているのが「空調服」です。
以前は、工場や倉庫、建設現場など一部の作業現場でしか使われていませんでしたが、最近ではホームセンターなどでも販売され、一般にも広く普及してきました。
しかし、空調服を着用して涼しさを得られたとしても、それだけで熱中症リスクを完全に防げるわけではありません。
「なぜ空調服を着ていても熱中症になるのか?」
今回は、「空調服を着ていても熱中症になる原因」と、特に工場や倉庫などの大型施設で重要となる「空間そのものの暑さ対策」の必要性についてご紹介します。
空調服とは?仕組みと効果

作業現場などで多くの人が着用している「空調服」。
「なんとなく涼しそう」というイメージはあっても、仕組みや実際の効果・メリットを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。
ここでは、空調服の特徴や涼しさを感じるメカニズム、使用に適したシーンについてご紹介します。
空調服の仕組みと涼しく感じるメカニズム
空調服の一般的な特徴は、腰部分に小型ファンが2つ付いているデザインです。
長袖・半袖・ベストタイプがあり、服の中に外気を送り込むことで、涼しさを体感できます。
その風によって汗を効率よく蒸発させ、気化熱で体温を下げる仕組みです。
ただ単に、ファンで服の中に風が通るから涼しいだけではなく、汗の気化熱を利用して体を冷やすのが空調服で涼しくなるメカニズムです。
空調服の主な効果とメリット
空調服の最大の効果は、炎天下や高温環境でも「涼しさを体感できる」ことです。
着用するだけで快適さが得られるため、作業現場でのメリットも多くあります。
主なメリット
・熱中症リスクの軽減
・作業効率の向上
・軽量で体への負担が少ない
・体感に合わせた風量調整が可能
涼しい状態を保つことで体温の上昇を抑えられ、熱中症のリスクを軽減できます。
また、快適な状態を維持することで集中力が続き、作業効率の向上にもつながります。
ファンが内蔵されることで重さも心配されがちですが、近年は軽量化が進んでおり、着用しやすく動きの妨げにもなりません。
さらに、多くの製品が風量調整機能を備えているため、その日の体調や作業環境に合わせて快適さをコントロールできます。
空調服の使用に適したシーン
主な利用シーンは、屋外の建設現場や農作業、空調が不十分な工場や倉庫などです。
特にエアコンの設置が難しい場所では、高い効果を発揮します。
最近では、仕事のシーン以外にも、ゴルフや釣り、キャンプや登山のようなアウトドアでも人気が高まり、仕事だけでなく日常のレジャーにも広く活用されています。
空調服だけで熱中症対策は十分?見落としがちな空間の暑さ

「空調服を着れば、暑い作業現場も安心!」と思い込んでしまうのは危険です。
空調服は確かに涼しさを感じられる便利なアイテムですが、それだけで熱中症リスクを十分に防げるとは言い切れない場合もあります。
極度の高温環境や湿度が高い状況では、空調服だけでは対策として不十分な場合があり、注意が必要です。
空調服はあくまで「個人の体感」を変えるだけ(仕組みの限界)
空調服は服の中に風を送り込み、体感温度を下げる効果があります。
しかし、その仕組み上「個人の体感を快適にする」ことにとどまり、熱中症リスクをすべて解消できるわけではないとも言われています。
そのため、作業現場で空調服を配布したとしても、それだけで熱中症リスクに十分に備えられるとは限らないのが実情です。
あくまで暑さ対策のサポートアイテムとして位置づけ、他の対策と組み合わせて活用することが大切です。
暑い空間がもたらす熱中症リスクとその影響
倉庫や工場、建設現場のように高温になりやすい空間では、空調服だけでは熱中症リスクを完全にカバーしきれないことも考えられます。
特に夏場は高温多湿の状態が続き、空調服を着ていても十分な対策にはならない場合があります。
また、直射日光下や空間自体が熱気を帯びている環境では、ファンが取り込む空気そのものが熱いため、涼しさを感じにくく、かえって体に熱がこもってしまうリスクもあります。
さらに、空調服で冷却効果を得られるのは主に上半身に限られるため、体全体の体温上昇や集中力・体力の低下、脱水症状など健康への影響は依然として大きいのです。
空間全体を涼しくする暑さ対策の種類

熱中症から人の命を守るためには、空調服だけに頼らず、空間全体を涼しくする工夫が欠かせません。
環境そのものを改善できれば、多くの人のリスクを一度に減らせるだけでなく、作業効率や集中力の維持にもつながります。
空間全体を涼しくする暑さ対策の種類について解説します。
換気の促進と空気循環
空間に暑さがこもると、熱中症リスクを高めてしまう要因のひとつとなります。
換気を意識的に行い空気を循環させることで、温度だけでなく湿度の上昇も抑えられます。風通しをよくするだけでも、暑さの体感には違いが出てきます。
冷房設備の活用と効率化
冷房設備を取り入れることで、作業現場の環境は大きく改善されます。
設備投資は必要になりますが、職場環境の設備としてのメリットが大きいです。
しかし、工場や倉庫では建物の断熱性が低く、冷房が効きづらいケースも少なくありません。
そのため、冷房効率を高める工夫として「直射日光を遮断する」「断熱シートを併用する」「エリア空調・スポットクーラーを取り入れる」などの対策を組み合わせると効果的です。
遮熱塗料による建物表面の熱遮断
断熱材を使用した屋根や壁にすることは、費用も時間も掛かってしまい大がかりです。
そこで注目を集めているのが、暑さ対策と節電対策ができる遮熱塗料です。
遮熱効果のある特殊な塗料を屋根に塗るだけで、屋根表面の温度を抑えて、室内に熱が届くのを抑えてくれます。
遮熱塗料が空間の暑さ対策の中で持つメリット

遮熱塗料を塗ることで、空間の暑さ対策にさまざまなメリットがあります。
特に夏場の暑さ対策としては効果的で、快適な空間づくりに直結するだけでなく、長期的なコスト削減や建物の維持にも役立ちます。
ここでは、特に注目すべき3つのポイントを解説します。
室内温度の上昇を根本的に抑える
室温が高くなる大きな要因は、屋根や外壁から伝わる熱です。
遮熱塗料は直射日光による熱を軽減できるため、空間全体の温度上昇を根本から抑制します。
これにより、快適な室内環境を維持しやすくなります。
冷房効率アップによる省エネ効果
屋根や外壁で熱を反射することで、室内温度の上昇を抑えられます。
その結果、冷房の効きが良くなり、必要以上にエアコンを稼働させる必要がありません。
これにより、電力コストの削減や省エネルギーの実現など、企業運営における大きなメリットが得られます。
建物や設備の劣化抑制
遮熱塗料には、熱による屋根や外壁の劣化を抑える効果が期待できます。
さらに、室内の温度上昇を抑えることで、エアコンなどの設備への負担を軽減することも可能です。
建物や設備の劣化スピードを遅らせることができ、長期的なメンテナンスコスト削減にもつながります。
錆止め塗料を兼ねるタイプであれば、来るべき屋根や外壁の修繕にも備えることができます。
遮熱塗料は汚れると遮熱効果が落ちてしまいますが、シロキコーポレーションが展開する「遮熱塗料ミラクール」は、親水性の塗料で汚れつきにくいため、高い遮熱効果を維持することができます。
工場や倉庫だけでなく公共施設でも採用され、作業現場の環境改善に最適なソリューションとして評価されています。
空調服と遮熱塗料の相乗効果で熱中症リスクを減らす

空調服は、夏の作業現場で欠かせないアイテムです。
着用することで体感温度を下げることができ、作業者の快適性向上に役立ちます。
一方、遮熱塗料は、建物自体を熱から守ることで、室内の温度上昇を抑え、冷房効率の向上にもつながります。
空調服と遮熱塗料を組み合わせることで、個人の暑さ対策と建物の温度対策の両面からアプローチでき、相乗効果によって熱中症リスクをより効果的に減らすことが可能です。
<この記事のまとめ>
・空調服だけでは熱中症リスクを完全に防ぐことはできません
・換気・冷房・遮熱塗料などで空間の暑さ対策が重要です
・遮熱塗料は省エネ・劣化防止・快適性向上に効果的です
・空調服と遮熱塗料を組み合わせれば、暑さ対策の効果をさらに高められます