台風やゲリラ豪雨による大雨で屋根から雨漏り? 小さなサインの段階で修理することが大切です

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨が引き金となり発生する工場や倉庫、店舗など大きな建物の雨漏りは、小さなサインの段階で早急に修理することが大切です。

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨による自然災害は、各所に大きな被害をもたらします。さらに、気候変動の影響により「頻度や勢力」が今後増加する可能性があるとも言われています。
特に建物においては大雨が引き金となり、雨漏りが発生するケースが多くあります。
工場ラインの停止、倉庫の商品が水浸し、店舗の休業…など、大きな被害を未然に防ぐためには、「小さなサイン」を見逃さず、早急に修理することが不可欠です。

しかし、工場や倉庫、店舗などの「大きな建物」では、小さなサインを見逃してしまいがちです。外からは分からない隠れた問題点も見逃さず、適切に対応することが重要です。

この記事では、「雨漏りが発生する原因」とご自身でできる「雨漏りサインのセルフチェック」「雨漏り対策の方法」をお伝えします。

大雨により雨漏りが発生してしまった方、未然に雨漏りを防ぐ方法を知りたい方にお役立ていただける内容になっています。
ぜひご一読ください。

工場、倉庫、店舗などの大きな建物の「小さな問題」は見つけにくい

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨が引き金となり発生する工場や倉庫、店舗など大きな建物の雨漏りの原因を探す調査員

建物に甚大な被害をもたらす雨漏りは、雨水の侵入によって引き起こされますが、その侵入口は、建物の外側すべてに存在します。
そのため、工場や倉庫、店舗などの大きな建物では、その広さゆえ、小さな問題や損傷が見つけにくく、放置されてしまうことがあります。

また、建物の構造上、雨水が外から内へどのように侵入するのか目視できないことが多く、原因箇所を特定するには、深い知識と経験が必要となります。

特にコンクリート造の建物では、内部構造が複雑であり、たとえば天井から雨漏りしている場合でも、その真上が必ずしも雨水の侵入口とはならないことがよくあります。
経年劣化や排水システムの不具合など、複数の要因が重なっていることもあります。

内部構造を目視できない建物の雨漏りの原因箇所を特定するためには、疑わしいポイントに外から散水をし続け、やがて水が内から出てくることを確認することで、原因箇所を突き止める方法が用いられます。

しかし、これが困難な場合もあります。そのような場合には、さらに赤外線カメラを用いて散水の水温の動きを探知し、雨漏りの原因となっている箇所を特定します。

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨が引き金となり雨漏りが発生した、内部構造を目視できない工場や倉庫、店舗などをサーモカメラで現場検証した実際の調査画像
↑サーモカメラによる現場検証の実際の調査画像

実は雨水の侵入経路に?見落としやすいポイント

雨漏りの原因箇所として、特に見落としやすいのは、

  • ・雨どい
  • ・窓回り
  • ・排煙窓
  • ・屋上の排水溝
  • ・屋上の塀の天板(笠木)

などです。

これらの箇所は目視できない場所やあまり意識されない部分であるため、問題が発生しても気づきにくいことがあります。

意外な場所として、手入れをしていない屋上緑化が雨漏りの原因になることもあります。
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雨漏りの主な原因

雨漏りを引き起こす原因は広範にわたります。
排水システムや換気設備の不具合、経年劣化による建物の構造的な問題が挙げられますが、より具体的には次のような要因があります。

・雨どいの詰まり:
雨どいが詰まると雨水がスムーズに流れず、オーバーフローや雨漏りの原因となります。
・雨どいのオーバーフロー:
近年の激しい雨量に耐えられない場合、雨どいが容量を超えて水が溢れることがあります。
・鉄筋の錆び膨張によるひび割れ:
鉄筋部分が錆びると膨張し、建物のコンクリートにひび割れが生じ、雨水の侵入経路となることがあります。
・防水層の割れ・めくれ・剥がれ:
屋根や壁の防水層が劣化すると、雨水が建物内部に浸入する可能性が高まります。
・目地・シーリング材の経年劣化:
建築部材同士のつなぎ目を塞ぐ目地やシーリング材が劣化すると、雨水の侵入経路となることがあります。
・地震などの外部要因:
地震によって建物が揺れると、防水層や建築部材にダメージが生じ、雨漏りが発生する可能性があります。
・積雪している金属屋根への降雨:
屋根全体がシャーベット状になり、長時間、大量の水分が屋根に堆積、その水分の重みで金属屋根の継ぎ目部分の一部が沈んですき間ができ、そこから大量の水分が室内に漏水し、大規模な雨漏りを引き起こすことがあります(スガモリと言います)。
積雪している屋根に降雨し長時間大量の水分が堆積することで継ぎ目にスキマが生じ、スガモリする工場や倉庫、店舗などの金属屋根。
↑スガモリする金属屋根。屋根にスキマが生じています。

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯…大雨が「引き金」となり雨漏りが発生?

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨により水が溢れ出す雨樋

大雨の発生頻度は増加傾向にある

台風やゲリラ豪雨、線状降水帯は、非常に激しい雨をもたらす気象現象です。
気象庁の観測データによると、「大雨の年間発生回数は1980年頃と比較して、おおむね2倍程度に頻度が増加している」といいます。

台風やゲリラ豪雨、線状降水帯などによる大雨の年間発生回数が、1980年頃と比較しておおむね2倍程度に頻度が増加していることをあらわす全国アメダス 1時間降水量80mm以上の年間発生回数のグラフ

[全国(アメダス]1時間降水量80mm以上の年間発生回数(気象庁ホームページより)

全国(アメダス1300地点)の1時間降水量80mm以上の年間発生回数を見ると、最近10年間(2013~2022年)の平均年間発生回数は約25回。統計期間の最初の10年間(1976~1985年)の平均年間発生回数は約14回で、約1.8倍に増加しています。

地球温暖化の進行に伴い、大雨や短時間に降る強い雨の頻度は今後さらに増加すると予測されており、台風や豪雨による被害発生リスクが高まっています。

出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」

大雨の時だけ雨漏りするのはなぜ?

台風やゲリラ豪雨、線状降水帯は、短時間で大量の雨が降るため、雨の排水が間に合わず、建物の屋根の設計排水力を超えてしまいます。そして、雨どいや屋上がオーバーフローすることで、建物の周囲のすき間から雨水が侵入し雨漏りにつながってしまうのです。

また、台風の場合、強風により雨水が屋根勾配を逆流し通気口(屋根の棟下や面戸)に達し、雨漏りにつながる他、横殴りの雨により、建物の窓回りや排煙窓のすき間や破れから雨水が侵入することもあります。

実際、台風・ゲリラ豪雨・線状降水帯が起きた後には、雨漏りの相談が多く寄せられます。特に「台風や暴風雨に限って雨漏りする」「大雨の時だけ雨漏りする」という相談が顕著です。

ご相談を受けて被害状況を確認しに行くと、室内では床が水没していたり、スーパーマーケットの床や棚の上にバケツがいくつも置かれていたり、天井にビニールを張って雨水を集めていたり、バックヤードが水びたしになっていたりします。 外では、屋根の一部がめくれていたり、雨どいがオーバーフローして滝が流れていたり、窓回りのシーリング材が破れていたり…。

こうなってしまっては、自身で修理するのは難しく、建物の改修業者に修理を依頼する必要が出てきます。

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨が引き金となり発生した工場や倉庫、店舗などの建物の雨漏りをバケツやビニールで対応する様子
↑雨漏りしてバケツやビニールで対応する様子

工場ラインの停止、倉庫の商品が水浸し、店舗の休業…様々な被害が

台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの大雨が引き金となり発生した工場や倉庫、店舗などの雨漏りで、被害を受ける設備や原料、商品のイメージ

雨漏りで被害を受けるのは、建物だけではありません。
工場には高価な設備、倉庫にはデリケートな原料や資材、貴重な商品が保管されていることがよくあります。屋根からの雨漏りが発生すると、これらの財産にも大きな被害をもたらす恐れがあります。

実際に寄せられた被害事例として

  • ・工場の電気機械式室で雨漏りが生じ、漏水感電の危険にさらされた
  • ・スーパーマーケットのキッチンで雨漏りが発生し、お惣菜が作れなくなった
  • ・店舗内でのテナント様から苦情が寄せられた
  • ・独身寮の最上階に人が住めなくなった
  • ・従業員トイレや更衣室が水びたしになり、労働組合に通報された
  • ・カーディーラーでお引渡し場所が雨漏りしていて、お客様に申し訳ない気持ちになった

などが報告されています。

雨漏りは設備や商品、そして工場・倉庫・店舗の営業にも大きな被害をもたらし、会社の信用問題にも関わってきます。

雨漏りトラブル時の対応と長期的な修繕に向けた選択

これまでシロキコーポレーションが対応した事例として、大雨による雨漏りで床がびしょ濡れになり、屋根の一部もめくれてしまっていたスーパーマーケット様からのご依頼がありました。
お取引のあるお客様でしたので、工事部員が近くのホームセンターでブルーシートを購入し、応急処置として破損した屋根を覆いロープで縛るなどの対応をしました。多くの場合、応急処置にはブルーシートが現実的です。

店舗における応急処置後の工事方法としては、防水塗装の施工や剥がれた部分の屋根の交換、屋根上に新しい板金屋根を建築することが多いですが「とりあえずそこをふさぐ!」という部分修理のご依頼が一般的で、費用としては100万円未満でのご提案が多いです。
ただ、雨漏りは一度生じれば同じようなトラブルが未修理エリアから続いていきますので、やがて大規模修繕工事が必要になることがあります。

実際、その年は100万円未満の修理をし、翌年には400万円規模の少し広い修理を行い、更に4年後には2,000万円かけて屋根全部を防水工事シームレス工法を施工して根治する選択をされたスーパーマーケット店舗(当時で築50年で初めて屋根全面修理)もございました。

意外な盲点!「もうすぐ雨漏りかも?」10個のチェック項目

このような事態になる前に、建物の問題を早期に発見し、修理を行うことが大切です。
まずは自身の建物に、以下のような雨漏りの兆候となるサインが出ていないかセルフチェックしましょう。

見つけたら要注意!雨漏りのサイン「壁にふくらみがある、大きい地震が最近あった、雨どいから雨があふれている、築10年以上経っている、屋根にカラスが集まりやすい、コケや植物が屋根や雨どいに生えている、天井にシミができている、屋根がかなり錆びている、雨漏りをした際応急処置の状態のままだ、壁にヒビや穴がある」

多くのチェック項目が該当する場合には、専門家による建物診断を行うことをおすすめします。

専門家による「早期発見+修理」で被害を未然に防止する

雨漏りのご相談時以外にも、例えば屋根の塗装工事やミラクール塗装工事を相談されて現場調査を行ったところ、雨漏りしそうな箇所を発見し、修理に至ることはよくあります。

屋根上に無数に出ているネジ回りのシーリング材が割れていたり取れていたりすると、雨漏りがもうすでに起き始めている可能性が高いので、ネジ回りの止水処置を同時に行うことが多いです。

ほかにも、雨どいが狭かったり小さかったりすれば昨今の雨量に耐えられる大型の雨どいに交換をしたり、屋上の塀の笠木が外れていたりすき間があったりすれば新しいものに交換したりシーリング材で修理をしたりといった、早期発見による予防の事例は多くあります。

工場、倉庫、店舗といった従業員が保有する建物ではないケースがほとんどなので、雨漏りのトラブルが生じてから初めてご連絡されることがほとんどです。普段はお客様方の関心がないのが実情です。

しかし、前述通り雨漏りが発生すると、度合いによっては、店舗では休業を強いられたり、工場のラインが一時停止したり、倉庫では大切な荷主様の商品を汚してしまったりすることもあります。 「早期発見+修理」を行うことは、大きな被害を未然に防ぎ、価格や工期が抑えられるメリットがあります。

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