【地球温暖化・省エネ・SDGs】再生可能エネルギー「地中熱」で持続可能な未来へ
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地中熱利用は、工場や倉庫、大型施設・店舗などにおける空調(冷房・暖房)に関する課題を解決してくれるだけでなく、SDGsの面でも良い影響を与えるとして注目されています。
地球温暖化が指摘されて久しくなりますが、温暖化は進行中であるというのが現状です。
地球温暖化はこのまま進み、今後も悪化の一途をたどるとの見方が強まっていますが、私たちが個人としてはもちろん、社会的に責任のある企業としてエコを意識し、省エネ対策に取り組むことで改善される可能性は残されています。
そして、地球温暖化に歯止めをかけるとして期待されているのが、再生可能エネルギーの利用です。
地中熱は再生可能エネルギーの一つですが、利用することによってどのような良い影響があるのでしょうか。
本記事では、地中熱利用システムを通じて得られる環境負荷低減効果について解説します。
地球温暖化の現状と原因
地球温暖化とはその名のとおり、地球の平均気温が上昇する現象のことをいいます。
具体的な数字を把握していなくても、「夏の暑さは昔よりも厳しくなった」と感じている人も多いのではないでしょうか。
地球温暖化が続くと、環境変動が起こり生態系や私たちの生活に悪影響を及ぼします。
例えば、気温の上昇によって北極の氷が溶けると、ホッキョクグマが狩りをする範囲が狭まり、十分な食料を確保することが難しくなります。溶けた氷は海に流れ出しますが、その量が増えると海面が上昇し、海岸を侵食したり沿岸災害が起こりやすくなったりするなどのリスクが高まるでしょう。
全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)のサイトが公開している情報をもとに、地球温暖化の現状を以下にまとめました。
- ・気温の上昇:
- 2011~2020年の世界平均気温は、1850~1900年の世界平均温度よりも約1.09℃高い。陸域と海面付近の温度を比べると、前者の方が1.4~1.7倍の速さで気温が上昇している
- ・温室効果ガスの増加:
- 2013年の二酸化炭素の濃度(400ppm以上)は、1750年の二酸化炭素濃度(280ppm)と比べると、40%以上増加した
- ・海面の上昇:
- 1901~2010年の間に、海面は19cm上昇した。2100年までには、最大82cm上昇するといわれている
なぜ、地球温暖化が進んでしまうのでしょうか。
その原因は、大気中にある温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)の増加にあります。
温室効果ガスは大気中に存在していて、地表から発せられた熱を吸収します。大気中の温室効果ガスが適量であれば問題はないのですが、温室効果ガスの濃度が高まるとともに、熱の吸収量が増えて、その結果気温が上昇するのです。
地球温暖化を防ぐためにできる対策
地球温暖化を防ぐ最も効果的な対策は、二酸化炭素の削減です。温室効果ガスには、二酸化炭素の他にメタンなども含まれていますが、その8割近くが二酸化炭素で占められています。
二酸化炭素を含む温室効果ガスは、森林の伐採・減少や石炭の消費など、私たち人間の産業活動を通じて排出されています。
そこで、効果的な地球温暖化対策として、
・温室効果ガスの発生を防ぐ
・発生した温室効果ガスの影響を抑える
の2点が挙げられます。
温室効果ガスを発生させないことが理想ですが、急にゼロにするというのは非現実的でしょう。予防と緩和の両方から対策を講じ、地球温暖化の速度を落としながら最善の努力をするのが得策であると考えられるのです。
地球温暖化対策として、さまざまな取り組みがなされていますが、その一つとして期待されているのが地中熱利用によるエネルギーの確保です。地中熱利用によって期待できる効果については、次の章で説明します。
地中熱利用によって期待できる環境負荷低減効果
地中熱利用とは、地中に存在する地中熱を再生可能エネルギーとして利用することをいいます。地中熱利用の基本情報については、別記事にまとめてありますので詳しくはそちらをご参考ください。
⇒「暑さ対策/寒さ対策」両方に効果的な「地中熱」とは?地中熱利用の現状について活用例をもとに解説
「暑さ対策/寒さ対策」両方に効果的な「地中熱」とは?地中熱利用の現状について活用例をもとに解説
1年を通して建物内の温度を快適に保つことは、多くの工場や倉庫、店舗が抱えている課題ではないでしょうか。
再生可能エネルギーは、エコでクリーンなエネルギーといわれていますが、地中熱を利用することで以下のような環境負荷低減効果が期待できます。
- ・二酸化炭素の発生を抑えられる
- ・ヒートアイランド現象を抑えられる
- ・省エネにつながる
二酸化炭素の発生を抑えられる
地中熱には、一年中温度が一定しているという特徴があります。現在用いられている空気熱よりも、少ないエネルギーで適温に温めたり冷やしたりすることができ、その分二酸化炭素の発生を抑えられるのです。
青森県にある施設では、空調や冷暖房を地中熱利用システムに切り替えたところ、二酸化炭素の発生を50%抑えることに成功しました。
ヒートアイランド現象を抑えられる
ヒートアイランド現象とは、都市部の気温が郊外よりも上昇することをいいます。東京都環境局によりますと、東京都は100年前と比べて年間の平均気温が約3℃高くなったということです。
参照:ヒートアイランド現象ってなに?|総京都環境局
ヒートアイランド現象が発生する原因として、冷房を使用する時に発生する熱や、アスファルトの放射熱などが挙げられます。特に人口の多い大都市は熱量が多くなり、ヒートアイランド現象が発生しやすい状態にあるといえるでしょう。
地中熱利用システムは地中で熱交換を行うため、大気の気温は上記による(または上記の由来による)熱の影響を受けにくくなります。このはたらきから、地中熱利用システムにはヒートアイランド現象を抑制する効果があると期待されています。
省エネにつながる
地中熱の平均温度は地域によっても異なりますが、東京都の場合は、深さ10メートル付近で17℃程度といわれています。夏は涼しく冬は暖かい特徴を利用することによって、少ない電力で室内の空調や温度調整を行うことが可能です。
参照:水・土壌・地盤・海洋環境の保全|環境省
地中熱ヒートポンプとは、地中熱を利用したヒートポンプシステムのこと。
エコで省エネに配慮した冷暖房を実現するために、工場をはじめ倉庫や大型店舗などの大型施設に導入されています。
地中熱ヒートポンプは地中内で熱交換を行い、必要に応じて電力を供給します。
例えば、同じ温度に調整する場合でも、空気熱ヒートポンプよりも少量の電力で済むため、省エネとともにランニングコストも低く抑えられるのです。
オフィスビルに地中熱ヒートポンプを導入すると、空気熱源ヒートポンプよりも年間の電気代は25%安くなるという試算もあります。
参照:地中熱読本2021|環境省
地中熱利用システムの導入例
空気熱と比べてエコであるという理由から、地中熱利用システムの導入を選択する企業が増えてきました。
地中熱利用システムの導入例として、東京スカイツリー地域をご紹介します。
東京スカイツリー地域では、東京スカイツリーとその周辺施設の冷暖房を目的に、地中熱ヒートポンプを導入。地中熱を用いたエネルギーの供給を行っています。
地中に採熱を目的としたチューブを設置し、巨大なメインプラントに熱を送ります。インプラントの役割は、地中から送られてきた熱を利用して冷暖房用の冷水と温水が生成することです。生成された水はパイプを通り周辺地域の各施設に運ばれていきますが、地中熱利用システムが広範囲にわたり効率良く稼働している点は注目に値するでしょう。
東京スカイツリー地域では、地中熱利用システムを導入することによって以下の効果が得られたということです。
・二酸化炭素の排出量:従来式のシステムよりも年間約40%減少
・省エネ:エネルギーの消費量は、従来式のシステムよりも約48%減少
参照:導入事例 東京スカイツリー®地域|環境省
まとめ
地球温暖化対策における地中熱利用について、解説しました。
再生可能エネルギーの一つである地中熱は、二酸化炭素の削減やSDGsにおいて、理想的なエネルギー源として期待されています。また、少ないエネルギーで室内の温度調節ができることから、地中熱利用システムは他の対策と比べてエコであり、企業にとっては次世代の空調設備として有力な選択肢になるのではないでしょうか。
今後、地中熱利用システムを導入する倉庫や工場、大型施設・店舗などが増えることによって、二酸化炭素の発生を減らし、温室効果ガスの低減に大きく前進する可能性があります。 次世代の空調のあり方として、地中熱利用システムの導入を検討してはいかがでしょうか。
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