遮熱塗料の効果減は汚れが原因?「セルフクリーニング」が成功のカギ
この記事のリンクをコピーしました。
「屋根や外壁に塗った、遮熱塗料の効果ってどのくらい長持ちするの?」
こんな疑問を抱える方が多くいらっしゃいます。
実際、経年劣化や外部要因により、その効果は少しずつ低下してしまいます(10年後の日射反射率92.2%→83%)。
塗料メーカーのミラクール社(※)は、この課題に取り組んできました。元々、効果や性能、耐久性において非常に高い評価を受ける一方、その効果を長期的に維持するにはどうしたら良いのか模索していたところ、新たな解決策を発見しました。
それは「汚れにくくすること」です。
洗うのが難しい、工場・倉庫・店舗などの屋根や壁を、特殊な素材で「セルフクリーニング」することで汚れを防ぎ、遮熱効果も美観も長期間維持させる。単純に思える解決方法ですが、科学的なエビデンスに基づいた「目から鱗」な視点です。
そこから誕生し、おかげさまで大好評の新商品「AQクリア」の開発経緯やその効果について、お話を伺いました。
数ある遮熱塗料の中からどれを選べば良いのかお悩みの方に、是非ご一読いただきたい内容です。
↑約3カ月間、屋外に設置した比較実験の画像
遮熱塗装の効果を長く保つための新基軸「汚れにくさ」
開発のきっかけを教えていただけますか?
実は以前から「もっと遮熱性能を維持できる方法はないか?」と考えていました。
ミラクールは元々、遮熱効果や耐久性などの点で非常に優れていることは自負していたのですが、この性能を少しでも長く保つことができれば、お客様の課題を「長期にわたって」「解決し続けること」が可能になるのでは?と
確かにそうですね。「塗ってすぐ」はもちろん、「効果が長く続く」のはありがたいですね。
ある時、この悩みを解決できそうな「素材」を見つけました。
たくさんある遮熱塗料の中からどれを選べばよいのか、検討される時の新しいポイントになると確信したんです。
簡単に説明しますと
「塗料の持つ基本的な性質『撥水性』を『親水性』にし、汚れにくくする」素材です。
いくら高性能な遮熱・断熱塗料でも「汚れたら」効果は激減
汚れにくくすることが効果の長持ちと大きく関係するのでしょうか?
はい、遮熱塗料は汚れると反射率が下がり、性能が落ちてしまいます。
しかし、工場や倉庫、店舗など、大きな建物の屋根や壁は、なかなか掃除できないと思うんです。
掃除する範囲が広すぎますし、特に屋根なんて危なくてできないというか…
ですが、この素材を使えば、遮熱塗料の表面をキレイなまま維持でき、遮熱効果も長持ちさせることができる!と思いついたんです。
『撥水性』を『親水性』にするというのは?撥水性は汚れを弾くイメージですが…。
例えば、塗布面に雨が降ったとします。
『撥水性』は一見、水も汚れも弾くイメージがあると思いますが違います。
汚れは「屋根や壁の表面」と「水滴の外側・周り」両方に接していて、その状態から水滴だけが流れ落ち、屋根や壁の表面に汚れだけが残った状態になってしまいます。
逆に『親水性』は、平面的にジワ~と広がり、にじむような状態で、汚れを「浮き上がらせ」洗い流します。
撥水性が優位の場合、汚れの付着が繰り返されることで、当たり前ですが段々と汚れがひどくなってく…
汚れが「育つ期間」といってもいいですが、半年ぐらいで遮熱効果に影響が出るほどになってしまう事が多いです。
なるほど、だから撥水性を親水性にすることが、「汚れにくさ」につながるんですね。
「撥水性」「親水性」の違いについては、「車や建物の屋根・外壁の雨シミ・黒スジ汚れの原因は「撥水性」!親水性塗料で汚れ対策を」で詳しく紹介しています。より深く知りたい方は是非、ご一読ください!
車や建物の屋根・外壁の雨シミ・黒スジ汚れの原因は「撥水性」!親水性塗料で汚れ対策を
「せっかく車を洗車したのに、雨が降ったら雨だれやシミの跡が付いている」 「リフォームしたのに建物の外壁や屋根にスジ状の汚れが付いている」
「セルフクリーニング」で、工場の屋根・倉庫の壁をキレイに保つ
これまでのミラクールとAQクリアには、どれほどの差がありますか?
元々ミラクール製品は他の遮熱塗料と比べて、汚れづらい設計となっておりますが、どうしても経年による汚れの付着は完全に防ぐことはできません。
その点AQクリアは、塗ることで工場や倉庫の屋根や壁などの汚れを、勝手に洗い流してくれるようになります。
汚れや汚染物質を自動的に除去し、キレイな状態を保つ「セルフクリーニング」で、ミラクールの高い遮熱効果をより長く維持できるんです。
開発で苦労されたところはありますか?
開発自体は上手く進みました。
様々な実験や検査を繰り返し、ほぼ形になったところで、営業の方にもテストをしてもらったんです。
遮熱塗料は色が白で、その上に塗るのですが、キレイな透明がゆえに(「AQクリア」という名前通りのクリアな透明)どこを塗ったのか、どこまで塗ったのかが全く分からないんですよ(大笑)
適当に塗ったつもりはなくても、塗ったところと、塗れてなかったところ、差が出てしまって…
そんなにハッキリと違いが出たんですね!目に見えて効果があることは分かりましたね。
はい、研究所の下で実験しているので、後でご覧になってください。
数日経つと、見てすぐ差が分かるレベルになるので「どうして、ここは綺麗なのに、ここは汚いんだ!」となったら、塗装屋さんも苦労するだろうな…となり、塗った箇所が分かるように着色することにしました。
↑約3カ月間、屋外に設置した比較実験の画像。上から「ミラクール単体」「ミラクール+AQクリア」「他社塗料(6社)」。ミラクール単体でも他社に比べて汚れにくいですが、AQクリアを加えることで、さらにキレイな状態を維持している事が分かります。
(すみません)単純というか、大胆な発想ですが…
本当は着色はダメなんです。クリアでいてほしいので…
ですが、このままだと「使えない半製品」です。売ってくれる営業の方、塗る職人の方、施主の方、全員が満足するものでないと意味がありません。
そこで考えたのが「食紅」を使った方法です。
通常、我々は耐候性の良い顔料を使います。当然ですよね。
逆に紫外線や太陽光で色が抜けてしまう、耐候性が悪い食紅を使えば、塗る時は色が目印となり、塗った後は自然に色が抜け「クリア」になる。
しかも、食紅なので安全です。食品、医薬品、化粧品にも使われてるので無害な素材です。
国連機関にも採択された、「世界基準」の遮熱効果と安全性
↑フィリピン ソルソゴン市の教育施設と室内が涼しくなって喜ぶ子供たち
塗料は直接体に触れるものではないですが、害の無い素材を選ぶ理由は何ですか?
AQクリアは国連機関に採択され、ケニアの難民キャンプにも使用されています。
ケニアの人は水が大変貴重で、屋根に降った雨水を貯めて食用に使っています。
色のついた水は飲まないよう注意喚起していますが、万が一飲んでも大丈夫かどうか、ケニアの水道基準、さらには日本の水道基準を満たしているかどうかを、正式な検査機関に出してチェックを行い全て合格しました。
↑AQクリア水質試験検査結果書
世界基準で社会的な責任を果たしているんですね
「体に害が出るようなものは含んでいない」というエビデンスを確認した上で出荷することにしました。
ちなみにガリガリ君の青です。ベロが青くなるやつです。笑
開発から先の先までと、前半のお話でも出た、塗料は「半製品」で、使われることによって、ようやく「製品」になる、という事にもつながりますね。
遮熱塗料の効果を長持ちさせる「AQクリア」で課題解決へ
AQクリアですが、実際に塗装の依頼状況はいかがですか?
はい、とても好評です。
国内・海外問わずミラクールを選ぶお客様には、オプション的にご紹介していますが、2~3件に1件は採用されている感覚です。どうせ買うなら、良いもの(効果が長持ちする)を、という心理は皆様持っていらっしゃいます。
シーズから生まれた商品に、ちゃんとニーズがあったという事ですね
お客様は様々な課題があって、ミラクールを採用されるのですが、社内で稟議を通す側にとっても「(エビデンスに基づいた)長期間汚れにくさ=長期間効果がある=課題解決に長い期間役立てることができる」といった、得られるメリットやリターンが明確になることで、稟議決裁がとりやすくなると思います。
もちろん、特許も申請済です。
- ・親水性コーティング用組成物及び親水性コーティングを含む構造体:特許第6991627号
- ・親水性コーティング用組成物及び親水性コーティングを含む構造体:特許第7084082号
まとめ
世の中に数ある「遮熱塗料」。それぞれに特長があります。
例えば「反射率が高い」「耐久性が高い」「某有名機関で開発された」「価格が安い」など…ただ、エビデンスに基づいた「汚れにくさ」を特長に上げているのは「ミラクール AQクリア」だけです。
よくよく考えれば、とてもシンプルで分かりやすい特長に思えます。いくら高性能でも、最先端技術を使っていても「汚れたら」効果は激減するのですから…
しかも、掃除などのメンテナンスが難しい屋根や壁に塗るので、親水効果による「セルフクリーニング」は、遮熱効果を維持するのに適した機能であることが理解できました。
工場や倉庫、店舗の暑さ対策のうち、どの遮熱塗料を選んでよいか分からず、モヤモヤしている方の頭の中をクリアにする選択肢の一つとして「AQクリア」はオススメできる製品であると言えます。
・ミラクールAQクリア製品リーフレット(PDFダウンロード)
https://kankyo-shiroki.com/dr/download/AQclear.pdf
※塗料メーカーのミラクール社は、シロキコーポレーションのグループ会社です。